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1960年代後半～1970年代中盤にかけて、日本とソ連の２強時代が
続いた女子バレーボール人気が一段落するとともに、
1970年代後半～1980年代にかけて、日本では、テニスブームが
起こりました。この作品は、アメリカではテレフィーチャーとして
放映されましたが、日本では、テニスブームの真っ只中、1979年に
劇場公開されました。同年には、同じくテニスを題材にした
「ウィンブルドン愛の日」も公開されています。
この作品の公開当時は、優勝賞金何万ドルという、
プロ・ゴルフと並ぶプロ・テニス全盛時代になっていました。
この映画のパンフレットに、当時のプロ・ゴルフの人気選手
ローラ・ポーが、テニスラケットを持つＣＭ広告が載っている事
からも、この当時のプロ・テニス人気が感じられます。
しかし、「リトル・モー」の主人公モーリン・コノリーは、
アマ・テニス時代の最後のスター選手です。
史上最年少の１６歳で全米チャンピオンになり、1953年には、
ウィンブルドン（イギリス）を始め、全米オープン、
全仏オープン、全豪オープンの４大会制覇、通称グランドスラムを
女子テニスで初めて達成した選手です。ちなみに、
身長160cmと小柄なため、リトル・モーの愛称で親しまれました。
リトル・モーを演じるグリニス・オコーナーは、デビュー作
「ジェレミー」(1973)、「ビリージョー～愛の架け橋」(1976)と、
ロビー・ベンソンと共演した切ない青春恋愛映画で、
少女スターの地位を確立しました。
テイタム・オニール達よりも、やや上の世代の少女スターでした。
ロビー・ベンソンと別れて、単独主演したのが、この作品です。
ロビー・ベンソンも、同じジャンルである青春スポーツ映画
「ワン・オン・ワン」(1977)で、単独主演しています。
２時間１８分の作品は、リトル・モーがテニスを始めてから
ウィンブルドンで初優勝するまでの前半生と、後半生を平等に
描いています。しかし、私が見た公開翌年の月曜ロードショーの
１時間３３分のカット版は、後半生を短くしているので、
青春スポーツ映画としての側面が強調されていました。
母親と二人だけの貧しい家庭で育った彼女が、ラケットも買えず、
テニスの球拾いの報酬として、コーチにテニスを教えてもらう
序盤から、目標に向かってひたむきに突き進む姿を描いています。
１０歳の時、地方のジュニア大会で優勝した彼女は、新聞記者に
リトル・モーと呼ばれます。その新聞記者に名コーチを紹介された
リトル・モーは、母親の再婚相手からテニスを禁止されても、
迷わず名コーチに会いに行きます。
その女性名コーチは、リトル・モーの欠点を次々修正していきます。
その中で、サーブの欠点を修正するため、ラケットを投げる練習を
しますが、これが、ラストの感動的なシーンの伏線になります。
生意気な小娘を見る周囲の冷やかな目線を尻目に、リトル・モーと
名コーチのタッグは、快進撃を続けます。
全米チャンピオンになったリトル・モーは、ウィンブルドンでの
練習中に肩を痛めます。名コーチの側近ドクターが肉離れと
診断しても諦めきれないリトル・モーは、知り合いから他の医者を
紹介してもらい、肉離れではないとの診断結果が出ました。
大喜びで、コーチが提出したウィンブルドン出場停止を
解除してもらいますが、これがきっかけで、
名コーチとは断絶してしまいます。
コーチ「一番の間違いは、あなたがとんだ二枚舌だって事を
見抜けなかった事よ。あなただけが頼りです。感謝しています。」
リトル・モー「それは、嘘じゃありません。
心からあなたには感謝してるんです。」
コーチ「もうそんな甘い言葉には騙されませんからね。」
リトル・モー「あなたの生き甲斐はチャンピオンを育てる事。
でも、しばらくはいい選手に出会わなかった。そこへ私が現れた。
あなたは夢を託したわ。そして何もかも上手くいき、
世界的名コーチが復活した。心配なのは私の肩じゃない。
あなた自身の名声が傷つくのが怖いのよ。だから無様に負けると、
あんなに怒鳴り散らすんだわ。」
コーチ「大勢のファンを前にした時の可愛い笑顔の前には、
悪態を付くもう一つの顔があったって訳ね。」
リトル・モー「私にはあなたが必要。あなたにも私が必要。
だったらいがみ合わないで、勝つ事に手を貸してちょうだい。
勝ちたいの。」
コーチ「今試合に出る事は、破滅への道だわ。私はそんなもの
見たくない。後になって泣きついて来たって手遅れよ。」
前半のハイライトシーンです。他にも、
母親の再婚相手との、テニスに対する考え方の違いから生じる対立。
打ちひしがれた時に訪れる、恋人からの優しい求婚の言葉。
女性名コーチとの、ラストの和解シーン。
テニスシーンもよく撮れていますが、
人間関係を描いた部分が、心を打ちます。
そして自らの強い意思で、常に前向きに突き進むリトル・モーの
ひたむきな姿が、重苦しい人間関係の対立や、後半生の悲劇を
乗り越え、爽やかな感動を与えてくれる映画です。
ビデオが入手困難となっている現在、
是非ＤＶＤ化して欲しい作品です。
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